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書評 薬の影響を考える 臨床検査値ハンドブック 第2版
前川 真人
1
1浜松医科大学 臨床検査医学
pp.19
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200170
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近年,臨床検査はEBMにおける客観的な指標として,その重要性がますます高まってきている.国際臨床化学連合(IFCC)のホームページにも診療カルテにおける客観的な指標の94%を占め,臨床判断を行う上で60〜70%の影響力を持ち,診療ガイドラインの37%に関与していると記載されている.現在は検査依頼をすれば確実に客観的な結果が出てしまうため,その値が間違っていると(患者の病態を表していないと),患者診療にとって大きな誤判断につながってしまう危険性が高い.
臨床検査値の異常は病態によるものばかりではない.分析前,分析,分析後に分けて考えると,分析前としては検体の取り方,前処理法,分析までの保存条件などによる影響がデータの異常につながることもあるし,分析過誤も,また分析後の結果の送信ミスなど,種々の検査にまつわる原因がありうる.また,患者の生理的変動や食事や運動などによる影響,そして病態にも関係するが治療による影響も考えておく必要がある.このうち,薬剤による影響は大きいと推察される.薬剤による影響のうち,人体への直接的な作用による結果として肝障害が生じるというのは病態とも言えるが,測定系への影響や薬剤中のコンタミなどは病態とは関係なく,検査診断を誤った方向に導く恐れのある注意すべきものである.
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