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書評「正常値 改訂第2版」
守屋 美喜雄
1
1一ツ橋診療所
pp.608
発行日 1974年5月25日
Published Date 1974/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111844
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臨床検査が日常診療にとりいれられるようになってから,すでに時久しく,それが臨床医の診断能力や診療内容の向上に非常に貢献していることは,万人の認めるところであろう.しかし,反面,臨床検査がかえって診断を誤らせ,患者に無用な負担を与える原因となっているケースがあることも,また見逃すことができない事実といえよう.
たとえば,倦怠感を訴える患者のGOT・GPTが,50ぐらいの軽度上昇を示したために,これを肝炎と診断し,それがかえって患者の精神的不安をよびおこし,数値のわずかな上下に一喜一憂するいわゆる比喩的な意味でのトランスアミネーシスに陥らせてしまったというような例が,ときおり,みかけられるようである.
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