Japanese
English
今月の主題 アルコール依存症
話題
アルコール依存症の予防―ブリーフインターベンション
Prevention of alcohol dependence―Brief Intervention
杠 岳文
1
Takefumi YUZURIHA
1
1国立病院機構肥前精神医療センター
キーワード:
アルコール依存
,
有害な使用
,
危険な使用
,
二次予防
,
ブリーフインターベンション
Keyword:
アルコール依存
,
有害な使用
,
危険な使用
,
二次予防
,
ブリーフインターベンション
pp.1472-1476
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103287
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1.はじめに―わが国のアルコール医療
わが国のアルコール医療は,1963年に久里浜病院(現久里浜医療センター)にアルコール依存症の専門治療病棟が設置され,入院3か月間での集団のプログラム治療が行われたことに始まる.それ以前のアルコール依存症患者に対する医療は,特別の治療技法をもたなかったこともあり,精神科の閉鎖病棟で他の精神疾患患者と一緒に治療が行われていた.結果として,依存症の治療というより,飲酒にまつわる様々な問題で社会や家族に迷惑をかける患者を隔離収容する意味合いが大きかったようである.1975年には,久里浜病院でアルコール中毒臨床医研修事業が開始され,この機に学んだ者が日本各地で同様の集団のプログラム治療を実践し,“久里浜方式”として広く知られるようになった.また,最近では中年男性を中核群としながらも,患者層は女性,若年,高齢者と多様化し,それぞれの特性に応じたプログラムも行われるようになり,治療プログラムには認知行動療法も幅広く取り入れられてきた.
いくつかの変遷はあったものの,わが国でのアルコール医療は専らアルコール依存症患者,特にその中でも比較的重篤な患者に対して断酒を唯一の治療目標とする治療が行われてきた.一方で,有効な薬物治療もないまま治療成績に大きな改善はみられず,長期の断酒率は20%程度とされている1).
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