Japanese
English
今月の主題 尿路結石
話題
メタボリックシンドロームと結石
Metabolic syndrome and nephrolithiasis
柑本 康夫
1
,
佐々木 有見子
1
,
原 勲
1
Yasuo KOHJIMOTO
1
,
Yumiko SASAKI
1
,
Isao HARA
1
1和歌山県立医科大学泌尿器科学
キーワード:
尿路結石
,
メタボリックシンドローム
Keyword:
尿路結石
,
メタボリックシンドローム
pp.291-295
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102952
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1.はじめに
わが国における上部尿路結石の年間罹患率をみると,2005年には人口10万人対134.0人(男性192.0人,女性79.3人)であり,1965年の43.7人(男性63.8人,女性24.3人)と比較して約3倍に増加している(図1)1).こうした増加の原因としては,画像検査における診断率の向上,検診などによる無症状結石の発見,人口の高齢化などが挙げられるが,おもに食生活や生活様式の欧米化によるところが大きいとされている.すなわち,疫学的観点からみて尿路結石症は生活習慣病の1つと考えられる.尿路結石症の再発予防のための食事療法や生活指導は,高脂血症・動脈硬化症,高血圧,糖尿病といった生活習慣病の予防法と共通点が多いことも以前から指摘されているが,最近では,肥満,糖尿病,高血圧など,個々の生活習慣病のみならず,メタボリックシンドローム(metabolic syndrome;MetS)と尿路結石症の関連性を示す疫学研究が多数報告されている.また,MetSの本態であるインスリン抵抗性が結石形成に関与していることが解明されつつあることから,今日では“尿路結石症はMetSの1疾患”との考え方が提唱されるようになってきた.
本稿では,尿路結石症とMetSの関連性についての最新の知見を紹介するとともに,MetSとの関連性からみた尿路結石症に対する新たな予防法の可能性についても言及する.
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