映画に学ぶ疾患・15
「パピヨン」―スティーブ・マックイーンの生涯
安東 由喜雄
1
1熊本大学大学院生命科学研究部病態情報解析学分野
pp.505
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102628
- 有料閲覧
- 文献概要
胸に蝶の入れ墨をした男は“パピヨン”(スティーブ・マックイーン)と呼ばれた.男はパリで金庫破りの罪で捕まるが,仲間の裏切りからほかの罪も着せられ,裁判で終身刑を言い渡される.映画「パピヨン」の始まりである.彼はまず,フランスから遠く離れた南米のフランス領ギアナの刑務所に収容される.無実ではないとは言うものの,不当な罪を着せられたパピヨンは,何度も脱獄に失敗し,何度目かの獄中は陽も当たらない独房であった.しかしパピヨンの脱獄にかける執念は衰えず独房の中で見つけたムカデ,ゴキブリなどを食べてまで生き残る.
十数年の月日が流れる.パピヨンは白髪頭となっていた.彼は断崖に囲まれ,激流とサメが押し寄せ,脱出は到底不可能な島に送られる.そこでは手錠も足枷もないうえ,日常生活の制約はなく,悠々自適ともいうべき生活を送ることができるはずだが,パピヨンは,またも脱出のチャンスをうかがい,今度もサメのいる大海原にボートを漕ぎ出す.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.