Japanese
English
今月の主題 静脈血栓塞栓症と凝固制御因子プロテインS
話題
肥満とプロテインS
Obesity and protein S
津田 博子
1
Hiroko TSUDA
1
1中村学園大学栄養科学部栄養科学科
キーワード:
静脈血栓塞栓症
,
肥満
,
メタボリックシンドローム
,
プロテインS
Keyword:
静脈血栓塞栓症
,
肥満
,
メタボリックシンドローム
,
プロテインS
pp.403-406
発行日 2011年4月15日
Published Date 2011/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102599
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1 . はじめに
静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症)は典型的な多因子疾患であり,遺伝要因と環境要因の相互作用で発症する.1856年にVirchowは血栓症の誘発因子として,①血流の停滞,②血液凝固能亢進,③血管内皮障害を提唱したが,現在でもこの概念は変わっておらず,遺伝要因と環境要因はいずれもこの3主徴に関連している(図).
血液凝固調節の分子機構に関する研究の結果,凝固制御因子の先天性機能低下による血液凝固能亢進が,静脈血栓塞栓症の遺伝要因となることが明らかになった1).一方,環境要因としては,①血流の停滞として長期臥床,長距離旅行,肥満,妊娠など,②血管内皮細胞障害として手術,外傷,骨折など,③血液凝固能亢進として悪性疾患,妊娠,炎症などがある2).肥満,なかでも腹部肥満(内臓脂肪型肥満)は動脈硬化性疾患の危険因子であることはよく知られているが,近年,静脈血栓塞栓症の危険因子でもあることが明らかになってきた.
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