映画に学ぶ疾患・11
「セックス・アンド・ザ・シティ2」と女の長寿
安東 由喜雄
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1熊本大学大学院生命科学研究部病態情報解析学分野
pp.58
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102516
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映画「セックス・アンド・ザ・シティ2」は,ニューヨークに暮らす4人のアラフォーからアラフィフに突入しつつある女性の日常を赤裸々に描き,アメリカで大ブームとなったテレビドラマである.好評なのでこれを映画化したところ,さらに評判となり日本でもブームとなった.今回は2年ぶりにその続編が作られ,またまたヒットとなった.われわれ男性は,世の中の中年オバタリアンに辟易していることもあり,この人気の理由が少し理解不能なところもあるが,女性のほうは,ブランドの服や靴に身を包み,悩みながらもバイタリティをもって前向きに生きる4人の女性にスカッとするような共感を抱くのかもしれない.この映画の主人公たちは,いずれも大きくはないがひとかどの問題を抱え,悩みながら生きている.女性はお互いが適度に不幸であると共感をもち助け合う.そんなところにこの映画のヒットの秘密があるのかもしれない.
人生に迷いや悩みがなくなったとしたら,それはボケたときに相違ない.不惑という言葉があるように,ヒトは40代になると,なんとなく体の老いを感じ始め,記憶力も若いころとは比べものにならなくなり,“こんなはずではなかった”と悩むようになる.女性の場合,性を証明する2大ホルモンが減少し,更年期を迎えることになるため,どんなに頑張っても若い女性を演じることはままならなくなってしまう.そこに焦りが生じる.さらに男性より10年も長く生きることになるため,いくつになっても本能的に美しくありたいと願う女性にとって,男性よりもはるかに老化して旅立たなければならない現実はある意味非情ですらある.
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