Japanese
English
今月の主題 排尿障害
話題
臨床検査技師,排尿機能検査士としての排尿機能検査への取り組み―泌尿器・婦人科疾患を中心に
Urodynamic study by medical technologist
石塚 静江
1
,
中川 晴夫
2
Shizue ISHIZUKA
1
,
Haruo NAKAGAWA
2
1東北大学病院診療技術部検査部門
2東北大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野
キーワード:
尿流動態検査
,
臨床検査技師
,
排尿機能検査士
Keyword:
尿流動態検査
,
臨床検査技師
,
排尿機能検査士
pp.811-813
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102344
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1 . はじめに
尿流動態検査(urodynamic study;UDS)は,各種の神経疾患,二分脊椎や前立腺肥大症,婦人科術後など下部尿路症状のある,男女問わず子どもから高齢者と幅広い患者に対して行う検査である.膀胱内に生理食塩水を注入し,尿意の状態を計測するとともに,膀胱容量に応じた膀胱内圧・直腸圧,排尿筋圧(膀胱内圧-直腸圧)を測定することにより,蓄尿中の膀胱の異常収縮の有無や膀胱の拡がりやすさ(コンプライアンス)を測定する.さらに,排尿時に尿流測定と同時に排尿筋圧を測定することにより,排尿時の膀胱収縮の有無,尿道抵抗の程度を知ることができる.また通常,健常人は低圧蓄尿,低圧排尿が可能であるが,膀胱支配神経の異常による無抑制収縮,膀胱のコンプライアンス低下による蓄尿異常(失禁),排尿障害(前立腺肥大による尿道抵抗の増大,腹圧排尿)の有無を調べることができる.
神経疾患の患者においては,排尿障害の種類の特定と程度を知ることができ,排尿管理法の決定に有用である.前立腺肥大症患者においては,術後の改善の程度の予測が可能であり,手術適応を決定するために有用である.また,小児二分脊椎患者は成長期に発生しやすい脊髄係留症候群の有無,手術時期の決定など大きな情報を得ることができる.
このようにUDSによって得られる情報は非常に重要なものであるが,泌尿器科医師は少なく,多忙を極めているため,必要な患者であっても十分にUDSを行うことができなくなっていた.
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