Japanese
English
シリーズ-検査値異常と薬剤・4
―臓器・組織に対する薬剤の影響―心臓,肺,脳および凝固線溶機能の治療薬の当該機能に対する副作用
Influence of medicine on organ and tissue:the adverse drug reaction for the function concerned of the therapeutic drug of cardiovascular, respiratory, cerebrovascular disease and coagulation-fibrinolysis
片山 善章
1
Yoshiaki KATAYAMA
1
1神戸常盤大学保健科学部医療検査学科
キーワード:
治療薬
,
副作用
,
心臓・肺・脳機能
,
凝固線溶機能
Keyword:
治療薬
,
副作用
,
心臓・肺・脳機能
,
凝固線溶機能
pp.553-562
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102301
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
投与された薬物は注射のように直接的あるいは消化器官から吸収され,肝臓を経て血中に入る.その後,標的器官・組織に到達し薬理作用を示す.大部分の薬物の代謝は肝臓で行われ,血液から腎臓を経由して尿へと排出される.また,一部は胆汁とともに消化管に分泌されて糞便中にも排泄される.したがって,ほとんどの薬物は肝機能,腎機能に障害を与える場合が多い.
本シリーズ第一回「薬剤投与が臨床検査値に影響を及ぼす作用」で,①直接的な薬物の影響と,②間接的な薬剤の影響があり,後者は薬剤の本来もっている薬理作用あるいは副作用によって,生体内で検査の対象となる成分の濃度を変えてしまうことであるが,特に副作用により“薬剤の検査値への影響”が生じ,検査値が予期せぬ値として変動し,期待されない検査値が得られてしまうと述べた.
今回の“心臓,肺,脳,血液凝固線溶機能に対する薬剤の影響”は後者のことを総論として述べることになるが,影響する薬剤は無作為に取り上げるのではなく,標記の機能を治療する薬剤を選択して,その副作用を中心に述べることにする.薬の副作用(有害作用)について述べるに当たって,薬剤の投与経路が影響するので,薬物の吸収,分布,代謝,排泄について簡単に触れておく必要がある.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.