Coffee Break
思い出よもやま―貧しい時代の豊かな心
寺田 秀夫
1
1聖路加国際病院内科
pp.50
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102221
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私は1948年(昭和23年)新潟医科大学卒業後1年間のインターン生活を送り,1949年第二内科に入局した.当時はまだ終戦後の混乱期の名残で,現代と比べると物質的・精神的に異常な時代であった.医局員のほとんどが無給で,生活のため銀行・デパート・会社・刑務所・裁判所などでネーベン(Neben:副)の仕事を見つけ,また医局の最大の財源が結核の集団健診や種痘,ツベルクリンの集団予防接種であった.ないないづくしの貧しい医局生活であったが,それだけに医局員同志の心の結びつきは堅く,交流は豊かであった.
医局対抗試合で,野球・バスケット・ピンポンなどで汗を流し,また,戦後再び流行してきた社交ダンスのレッスンを夜間医局の集会所で医師・看護師一緒になってお互いに足を踏み合ったりしながら受けた楽しい思い出もある.
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