特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査
総論
5.感染制御に関する法令
感染制御に関する法令
清 哲朗
1
Tetsurou SEI
1
1厚生労働省医政局指導課・医療放射線管理
キーワード:
医療法
,
医療安全
,
感染症法
Keyword:
医療法
,
医療安全
,
感染症法
pp.1280-1286
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102109
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はじめに
医療施設では,一般社会と比べ感染に対しより抵抗性の低い人(易感染者)の割合が高く,いったん施設内で感染症が発生すると感染拡大を招きやすく,かつ健康な方が感染した場合には問題にならない病原性の弱い微生物が,易感染者では致命的な結果を招く危険性が高いためその対策は重要である.また,福祉施設も高齢者の入所者が多く,一般社会よりは感染に対する抵抗力の弱い人が集団生活を行う場であるので,医療施設に準じた対策を講じることが望まれる.
感染症全般の予防に関する基本的な法的制度は,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下,感染症法)が大きな役割を果たしているが,院内(施設内)感染については感染症法での規制を受けない病原体が原因になることも少なくなく,これらも含めて医療安全の体制確保のための重要事項として,医療法に基づく院内感染対策の規定が定められている.
厚生労働省は,感染対策についてこれまで,科学的根拠に基づく感染防止に関する留意事項などを通知により周知および徹底を促し,また,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),インフルエンザなど医療施設内の感染が問題になる各種の微生物による感染の防止については,適時注意喚起や情報発信を行ってきた.医療施設ではない高齢者介護施設についても,施設の特性を踏まえた感染対策のありかたを介護施設の基準や通知で示している.
本稿ではこれらの法令の主旨について概説する.
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