特集 画像検査との“上手な”つきあい方—知っておきたい画像検査・画像診断のアレコレ
【日常診療を円滑・安全に行うための画像検査の知識】
⓬最低限知っておきたい画像検査と被曝の知識
大野 和子
1
1京都医療科学大学 医療科学部
キーワード:
放射線被曝
,
患者不安
,
発がんリスク
,
遺伝影響
,
医療法
Keyword:
放射線被曝
,
患者不安
,
発がんリスク
,
遺伝影響
,
医療法
pp.1054-1056
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350091054
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International Agency for Research on Cancer(IARC)も放射線被曝と、発がんとの因果関係は明らかと認定している。しかし、現在一般撮影(X線)検査、X線透視検査、CT検査を上回る患者情報を提供できる画像検査手段は乏しい。また、人に放射線を照射する決定権は医師・歯科医師のみに認められている。総合診療医がこれらの事実を認識して日常の画像検査を依頼することが、安全な医療放射線利用へとつながる。
慢性疾患や悪性腫瘍では継続的に検査を受ける必要があるが、これを前向きに捉えられない患者は一定数存在する。背景には検査の手間や費用の問題もあると推察しているが、このような患者は放射線被曝への不安に話をすり替えていることがある。検査を担当する放射線科医師としては、そのつど前回の“異常なし”を一緒に喜び、検査を受ける前向きな気持ちを掘り起こすよう努めている。またポリクリではできるだけ学生を検査台に乗せ撮影時と同様のポジションをとる体験をさせているが、主治医もあらためて各種検査の現場を見学し状況を把握することで、患者との信頼関係がよりいっそう深まると期待している。

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