特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査
総論
4.施設内感染に関連する微生物
2) 真菌
亀井 克彦
1
,
渡辺 哲
1,2
Katsuhiko KAMEI
1
,
Akira WATANABE
1,2
1千葉大学真菌医学研究センター病原真菌研究部門
2千葉大学医学部付属病院感染症管理治療部
キーワード:
浮遊菌
,
エアサンプリング
,
院内感染
Keyword:
浮遊菌
,
エアサンプリング
,
院内感染
pp.1263-1268
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102106
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感染管理から見た真菌の特徴
真菌による感染が医療施設内で伝搬するケースとしてはカンジダなどの酵母によるカテーテル感染症などが知られている.しかし,感染の病原体としての真菌の大きな特徴の一つが環境中に空気中に浮遊しやすいことであり,また深在性真菌症の中で経気道的感染による肺真菌症が大きな割合を占めることから,本稿では室内気中の真菌に焦点を絞って解説する.
真菌は本来胞子を作る能力を持った生物であり,これらの胞子は病原性微生物としては全体として比較的大型であるものの(Aspergillus fumigatusの場合,直径が2~3,5μm程度に達する)(図1,2),吸気により容易にヒト肺内に取り込まれ,しばしば呼吸細気管支,肺胞にまで到達する.このためこの空気中の胞子のコントロールが真菌感染症の発生を制御するうえで重要な鍵となっている.
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