特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査
各論
2.微生物別の種類別にみた施設内感染制御
3) 真菌 コクシジオイデス
亀井 克彦
1
Katsuhiko KAMEI
1
1千葉大学真菌医学研究センター病原真菌研究部門真菌感染分野
キーワード:
感染事故
,
バイオハザード
,
輸入真菌症
Keyword:
感染事故
,
バイオハザード
,
輸入真菌症
pp.1395-1399
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102130
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コクシジオイデス症とは何か
コクシジオイデス症とは真菌の一種であるコクシジオイデス(Coccidioides immitisあるいはC. posadasii)による感染症である.コクシジオイデスは日本国内には生息していない真菌であり,コクシジオイデス症は輸入感染症(この場合は,輸入真菌症)として扱われる.わが国ではこれまでに約60例の報告があるが1),15年ほど前から増加が始まり,近年は毎年数例がコンスタントに報告されるようになった2).
原因菌であるコクシジオイデスは真菌のなかでも特別に感染力が強く(BSL3),病原体としては第3種に指定され,また,本菌による感染症(コクシジオイデス症)は第4類に指定されているため,コクシジオイデスの保管,取扱いはあらかじめ許可を得た施設で行うとともに,コクシジオイデス症を診断した医療施設には,すべての症例を報告する義務がある.流行地はアメリカのカリフォルニア,アリゾナを中心とした周辺の地域と,隣接したメキシコが多い.しかし報告は少ないものの,流行地域自体はアルゼンチン,ブラジルなど中南米に広範に及んでいる.これほどの病原性をもつ菌でありながら,外見上は発育が進むまで全く特徴がなく,ごくありふれた菌にみえる(図1).
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