徹底分析シリーズ 麻酔科医と滅菌
これまでの滅菌 これからの滅菌—この世界も進歩し続けている
高階 雅紀
1
Masaki TAKASHINA
1
1大阪大学医学部附属病院 材料部/サプライセンター/臨床工学部/手術部
pp.1094-1097
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201229
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院内で行われる滅菌は,今後も蒸気滅菌が主流
一般に院内で行われる滅菌方法には,蒸気滅菌,酸化エチレンガスethylene oxide gas(EOG)滅菌,過酸化水素を用いた滅菌(過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌,過酸化水素ガス低温滅菌),および,ホルムアルデヒドを用いた滅菌〔低温蒸気ホルムアルデヒド滅菌low temperature steam formaldehyde(LTSF),ホルムアルデヒドガス滅菌low temperature gas formaldehyde(LTGF)〕がある。
蒸気滅菌は,高温高圧の飽和蒸気(通常は134℃3気圧,または,121℃2気圧の飽和蒸気)を滅菌剤として用いる方法であり,手術などに多く用いられている鋼製小物の滅菌に適しているため,院内の滅菌方法の主流である。運用コストが比較的安価であり,滅菌時間が加温工程や乾燥工程を含めても約1時間程度と短時間であることが最大の利点であるが,高温高圧の環境および水分に耐えられない器材は滅菌することができない。一方,蒸気滅菌以外の上記の滅菌方法は,低温滅菌と呼ばれる。滅菌剤として毒性のある薬物(酸化エチレンガス,過酸化水素,ホルムアルデヒド)を用いる必要があるが,約60℃以下で滅菌を行うことができるため,高温に耐えられない樹脂製器材などの滅菌に用いられている。
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