特集 ホルモンの病態異常と臨床検査
コラム
摂食と体内リズム
安倍 博
1
1福井大学医学部形態機能医科学講座 行動基礎科学領域
pp.1242
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101785
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“食事時間が体内時計をリセットできるか?”
サーカディアンリズムの昼夜周期への同調は,特定時刻の光が体内時計をリセット(位相変位)することで生じる.同じメカニズムで,食事時間が体内時計をリセットできるのかどうか(体内時計の摂食周期への同調)は,生体リズム研究の課題の一つである.しかし,従来のラットなどの研究では,体内時計中枢である視交叉上核(suprachiasmatic nucleus;SCN)の振動体(中枢時計)は,摂食周期(restricted feeding,摂食を一定時刻の数時間に制限するスケジュール)により影響を受けない.一方,SCN外に存在するとされる第2の時計(末梢時計)は摂食周期に同調する.これらのことは,摂食周期下での行動リズムやPer1などの時計遺伝子リズムから確かめられている1).摂食に同調する末梢時計の局在は,最近では視床下部背内側核(dorsomedial hypothalamic nucleus;DMH)が有力候補であるとする報告がある2)が,反論もあり,まだ確証はない1).
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