今月の主題 結核
トピックス
多剤耐性結核菌 Multi-Drug Resistant Mycobacterium tuberculosis
水野 和重
1
,
山田 博之
1
,
御手洗 聡
1
Kazusige MIZUNO
1
,
Hiroyuki YAMADA
1
,
Satoshi MITARAI
1
1結核予防会結核研究所抗酸菌レファレンスセンター細菌検査科
キーワード:
Multi-drug resistant tuberculosis
,
化学療法
Keyword:
Multi-drug resistant tuberculosis
,
化学療法
pp.1133-1138
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101724
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1.はじめに
結核菌感染症(結核)は大変古くからある社会的臨床的問題であり,現在に至るまで完全解決をみていない.それどころか,世界的にはいまだに毎年900万人以上の患者が発生し,約170万人が結核で死亡していると推計されている1).多くの結核患者は途上国に存在し,十分な診断・治療を受けられないまま死亡しているケースも多い.最近ではDirectly Observed Treatment with Short course chemotherapy(DOTS)の普及が進む中,薬剤の使用による耐性菌の発生も危惧されており,2006年には高度耐性菌の集団発生的事例が南アフリカ共和国で報告された.また,東欧諸国では一般的に結核菌の耐性化が進んでいると言われている.してみると,すでに耐性結核菌は一部の稀な問題ではなく,世界規模での問題となっており,世界保健機関(WHO)も対策の必要性を強調している2).
本稿では,現在世界的に大きな問題となっている多剤耐性結核菌(Multi-Drug Resistant Tuberculosis:MDR-TB)について,国内的あるいは国際的観点から論じたい.
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