増刊号 感染症クイックリファレンス
原因微生物
抗酸菌
Mycobacterium tuberculosis
品川 雅明
1
1札幌医科大学附属病院検査部
pp.252-253
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207102
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学名 Mycobacterium tuberculosis(マイコバクテリウム・ツベルクローシス)
和名 結核菌
◎性状と特徴
①細胞壁の構造と染色性
M. tuberculosisの細胞壁は,ペプチドグリカンと多糖体からなる内層表面に,ミコール酸やcord factorなどの脂質が覆った疎水性の構造を有しているため,グラム(Gram)染色では難染性を示す.一方,抗酸菌染色法の1つであるチール・ネールゼン(Ziehl-Neelsen)染色は加温によって石炭酸フクシンで染色される.いったん染色された色素は塩酸アルコールで脱色してもミコール酸がエステル結合し脱色されない性質を利用しているため,染色が容易である.
②培養検査
M. tuberculosisの分裂速度は遅く,通常,Escherichia coliでは1回の分裂が20分程度に対し,本菌では18〜24時間とされている1).そのため,培養陽性までの日数は,固形の小川培地で平均21.5日(13〜34)を要する.コロニー性状は,淡黄色,R型集落である.一方,液体培地の1つであるMGIT(mycobacteria growth indicator tube)培地では,平均16.3日(5〜40)で陽性を示す2).固形培地と比較し液体培地のほうが,感度および迅速性に優れている.
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