シリーズ最新医学講座・Ⅰ 糖鎖と臨床検査・5
癌関連性糖鎖抗原―CA19-9を中心に
宮崎 敬子
1
,
井澤 峯子
1
,
神奈木 玲児
1
Keiko MIYAZAKI
1
,
Mineko IZAWA
1
,
Reiji KANNAGI
1
1愛知県がんセンター研究所・分子病態学部
キーワード:
シアリルルイスa
,
糖鎖不全現象
,
癌のプログレッション
Keyword:
シアリルルイスa
,
糖鎖不全現象
,
癌のプログレッション
pp.573-583
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101605
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はじめに
単クローン抗体の技術は未知の抗原の研究にとって画期的な方法であった.従来の多クローン性抗体を用いた研究では,抗原の純度が抗体の良否を決めていたが,単クローン抗体の作成技術の導入により,純品の抗原が必ずしも必要でなくなり,極端な場合には細胞全体を抗原に用いて研究を進めることが可能となった.例えば,癌細胞を免疫して多数の単クローン抗体を得て,その中から癌細胞とは良く反応するが非癌正常細胞とは反応しない抗体を選択すれば,その単クローン抗体は「癌関連抗原」を検出する抗体と見なすことができる.このような方法を用いた研究から次々と新しい癌関連抗原が見いだされたが,その多くが糖鎖であったことから,糖鎖の癌関連抗原としての重要性が広く認識されるに至った.
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