シリーズ最新医学講座 臓器移植・12
心臓移植(heart transplantation)
中谷 武嗣
1
,
加藤 倫子
1
,
舩津 俊宏
2
Takeshi NAKATANI
1
,
Tomoko KATO
1
,
Toshihiro FUNATSU
2
1国立循環器病センター臓器移植部
2国立循環器病センター心臓血管外科
キーワード:
心臓移植
,
心筋生検
,
三者併用療法
Keyword:
心臓移植
,
心筋生検
,
三者併用療法
pp.1735-1744
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101397
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はじめに
心臓移植は1967年に世界ではじめて南アフリカで行われ,多くの施設でも行われたが,治療成績が不良であることより1970年代は限られた施設のみで試みられていた.その後,新たな免疫抑制剤としてのシクロスポリンの導入と,拒絶反応の診断法として心筋バイオプシー法が確立したことにより成績が安定するようになり,1980年代には末期重症心不全に対する治療選択として受け入れられ,これまでに世界では7万例に施行されてきた1).わが国では「臓器の移植に関する法律」が1997年10月に施行されてから,1999年に脳死臓器移植が行われ,これまでに48例の心臓移植が行われてきた2~5).その後,2001年5月から基礎疾患が拡張型心筋症あるいは拡張相肥大型心筋症である症例に対する心臓移植手術は,高度先進医療として承認された.さらに2006年4月からは健康保険において関係学会合同委員会で心臓移植実施施設として選定された7施設での同種心移植術の実施が認められるようになった.本稿においてわが国における心臓移植の現状を概説する.
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