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栄養管理はすべての疾患治療のうえで共通する基本的医療の1つである.栄養管理をおろそかにするといかなる治療もその効力を発揮できず,逆に栄養障害に起因する種々の合併症を併発してしまうことすらある.この栄養管理を症例個々に応じて適切に実施することを栄養サポートといい,これを各科間の垣根を越え,しかも医師のみならず看護師,薬剤師,栄養士,そして検査技師らがそれぞれの専門的な知識・技術を生かしながら一致団結して実施する集団をNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)という.NST誕生の歴史的背景をみると,1968年,Dudrickによる中心静脈栄養法の開発以来,その発展・普及とともに栄養管理を専門とするスタッフが各施設で求められるようになったことがすべての始まりと考えられる.1970年,米国のシカゴに集結した代謝・栄養学を専門とする医師,栄養士,薬剤師らによって,多職種による専門的な栄養管理チームの必要性が提唱された.さらにBlackburnによって,栄養管理になくてはならならない栄養アセスメントが,初めて臨床検査の1つとして体系付けられた.そしてこのBlackburnによると1973年,米国のボストンシティー病院に初のNSTは誕生したとされている.その後,NSTは全米さらに欧州諸国へと急激に伝播していき,最近ではアジア諸国の多くの病院にも当たり前のように設立されようとしている.
NSTの運営システムは欧米では専属チーム体制が一般的であり,医療経済の低迷と栄養療法の有用性が認識されていなかったわが国では,これまでNSTの存在さえ認知されていなかった.しかし,1998年,わが国の医療状況を考慮した新しいNSTの運営システム“Potluck Party Method(PPM:持ち寄りパーティー方式/兼業兼務システム)”が考案され,このシステムを用いた全科型NSTが鈴鹿中央総合病院に設立された.これを契機にわが国でも本格的な全科型NSTが次々と設立され,その有用性が実証されるようになった.
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