特集 ナノテクノロジーとバイオセンサ
各論
Ⅱ. バイオセンサ関連
4. 電気化学バイオセンサによる蛋白質機能解析
村田 正治
1
,
片山 佳樹
2
,
橋爪 誠
3
Masaharu MURATA
1
,
Yoshiki KATAYAMA
2
,
Makoto HASHIZUME
3
1九州大学大学院医学研究院ナノバイオメディスン
2九州大学大学院工学研究院応用化学部門
3九州大学大学院医学研究院災害・救急医学
キーワード:
プロテオミクス
,
バイオセンサ
,
ハイスループットスクリーニング
Keyword:
プロテオミクス
,
バイオセンサ
,
ハイスループットスクリーニング
pp.1477-1486
発行日 2006年11月30日
Published Date 2006/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100784
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はじめに
ヒトゲノム解析の完了を発端に,生命科学研究の焦点は遺伝子から蛋白質へと移りつつある1).機能発現を担う蛋白質は場所,環境,そして時間によって刻々と変化し,多くはダイナミックな構造変化を伴うことが知られている.蛋白質の機能は構造の形成から情報の伝達,物質の変換など極めて多岐にわたっており,生命システムを理解するためにはこれらの機能解析(プロテオミクス)が必要不可欠である2,3).
特に近年,病態と細胞シグナルの関係が次々に明らかになるにつれ,治療法の選択と予後の推定においてもプロテオミクスの重要性が広く認識されつつある.遺伝子の機能本体である蛋白質レベルでの解析は,細胞や組織において発現している蛋白質の種類と量の総体的な変動を検出する「発現プロテオミクス」と,個々の蛋白質そのものの機能を網羅的に研究する「機能プロテオミクス」に大別することができる.前者はDNAマイクロアレイや,二次元ゲル電気泳動と質量分析法による解析が中心であり,現在は分解能と感度の向上が続けられている.しかしながら後者には,膨大な種類の蛋白質を網羅的かつハイスループットに解析できる分析機器はいまだなく,今後の生命科学研究における大きな課題となっている.
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