コーヒーブレイク
追憶のわが兄
屋形 稔
1
1新潟大学
pp.654
発行日 2006年6月15日
Published Date 2006/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100656
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私は7人兄弟の末子である.一番仲が良かったのは4歳年上の四兄で,勉という名であったが通称“ムム”と呼んでいた.ムムは約30年前55歳の若さで大動脈瘤破裂で急死してしまった.当時先端企業であったコンピュータ会社の札幌支社から仙台支社へ転勤時,離任挨拶の最中に倒れ病院に運ばれたが蘇生しなかったという.本人は勿論私にとっても無念の死で,彼との記憶は生前のままで幽明処を異にしている気がしない.
物心づいた頃から他の兄姉とは年が離れていた2人は狛犬のように朝から晩までくっついて喧嘩ばかりして母に叱られていた.彼は興奮すると頭が大きいわけでないのにすぐ転んで鼻血を出す癖があり,親達は要注意にしていた気がする.ふとんの中や家中で様々の遊びを工夫したのも昨日のような気がする.
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