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特集 故シュレーダー教授を悼む
故シュレーダー教授へ捧ぐ
Schröder教授の追憶
Memories of the late Professor Dr. Schröder
藤森 速水
1
Hayami Fujimori
1
1大阪市立大学
pp.249-250
発行日 1960年3月10日
Published Date 1960/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204748
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- Abstract 文献概要
Schröder教授逝去の通知を受けて驚いた者は私のみではないだろう。然し私は今から22年前始めて先生に御会いしてからあの強い印象がいつ迄も私の脳裡から消え去らず,一昨年,御来日の折20年振りに再会し,更に深い印象が刻み付けられた故に,先先の訃報に接して只惜しい人を失くしたと言うよりも何とも言い知れぬ淋しさを感ぜずにはおられないのである。
私が始めて先生に御会いしたのは1936年10月22日であつた。当時文部省留学生として滞独中の私は,ベルリンからライプチッヒに旅行し,ホテルの給仕に頼んでライプチッヒ大学産婦人科のSchrö—der教授に「日本の京都帝大の講師のフジモリという医師が先生を御訪ねしたいが何時に御伺いしたらよいか,先生の御都合を聞いてくれ」と私の代りに電話をかけて貰つた。所がその給仕が電話口から戻つて来て「本人に電話口に出よと申していますよ」との事,そこで私自身電話口にて御挨拶申し上げた処「Halb Zwölf」との御返事,そこで私は約束の11時半に教室を訪れた。この教室の建物は5階建で,丁度京大産婦人科教室位の大いさ,その2階の教授室に私はノックした。直ちに「Herein Bitte!」との声が中から聞えた。ドアを開けて中へ入ると長身の堂々たる体躯のSchrö—der教授が,日本から来た無名の若い医師に向つていとも丁重に初対面の挨拶をされたのには恐縮した。
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