特集 動脈硬化-その成り立ちと臨床検査
3章 より繊細な診療を求めて―これからの冠疾患危険因子
6. 酸化指標
澤田 布美
1
,
井口 登與志
1
Fumi SAWADA
1
,
Toyoshi INOGUCHI
1
1九州大学大学院医学研究院病態制御内科学
キーワード:
8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)
,
8-イソプロスタン(8-iso-PGF2α)
,
マロンジアルデヒド化LDL(MDA-LDL)
,
ESR法
Keyword:
8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)
,
8-イソプロスタン(8-iso-PGF2α)
,
マロンジアルデヒド化LDL(MDA-LDL)
,
ESR法
pp.1293-1298
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100595
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はじめに
動脈硬化症などの生活習慣病の一成因として活性酸素やそれに由来するフリーラジカル・過酸化脂質などの酸化ストレスが注目されている.高脂血症の病態では,酸化ストレス亢進によって生成された酸化LDLはマクロファージに取り込まれて泡沫化し,不安定プラークを形成して心筋梗塞や不安定狭心症の発症誘因となる.また,酸化LDLやスーパーオキシドを含めたフリーラジカル自身が内皮細胞を障害し,さらにNOの産生低下や炎症を惹起し動脈硬化の進展に関与することが推定されている.このように動脈硬化症発症,進展の危険因子として酸化ストレス亢進の重要性が示唆されることより,臨床応用可能な酸化ストレスマーカーの開発が期待される.現在酸化ストレスマーカーとして,酸化ストレス環境下で酸化的修飾を受ける細胞成分,すなわち核酸,蛋白質,脂質の酸化物の有用性が検討されている(表1).マーカーとしての要件として,生体内の酸化ストレスの大きさによく応答するもので,かつ生体内に蓄積されにくく,また他の生体成分との化学反応の解析が容易である生理活性物質であること,また測定が簡便であることが望ましい.本稿では,これらのなかでもその有用性が期待され,また臨床的検討が進んでいる酸化ストレスマーカーについて詳述する.
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