コーヒーブレイク
天災と人間
屋形 稔
1
1新潟大学
pp.750
発行日 2004年7月15日
Published Date 2004/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100540
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今年初頭は神戸大震災から9年ということで災害の記憶と復興の力強さが再認識されていた.それとともに私の住む新潟も大震災からちょうど40年ということで当時を知る人にとってはあの生々しさと時のはやさを感じさせるものがあった.
当時私も働き盛りで,スタートした検査室作りに没頭する毎日であった.昼食に川を隔てた自宅に着いた途端車がブレーキを踏んでも前後に動揺し,同時にわが家の石塀が音をたてて割れはじめたと思うと地下水が噴出しだした.あとで液状化現象と知ったがそれでも長靴にはきかえて既に段差がついた近くの八千代橋を渡って引き返すことにした.左手にその頃建造し直された昭和橋という鉄橋が幾つかに分断されて崩落しているのが見えた.それにひきかえ右手の古い万代橋という石橋はびくともせず威容を保っていた.
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