今月の主題 ドーピング・スポーツ薬物検査
各論
炭素同位体比測定によるステロイド起源の異同識別
岡野 雅人
1
,
植木 眞琴
1
Masato OKANO
1
,
Makoto UEKI
1
1㈱三菱化学ビーシーエルドーピング検査室
キーワード:
炭素同位体比
,
テストステロン
,
ドーピング
Keyword:
炭素同位体比
,
テストステロン
,
ドーピング
pp.779-784
発行日 2004年7月15日
Published Date 2004/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100533
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〔SUMMARY〕 近年,スポーツ界ではドーピング検査を逃れるため生体内でも合成される男性ホルモンおよびその前駆体を使用する選手が増加している.従来のような化学分析では構造が同じ化学物質の由来を区別できないため,その異同識別には異なる分析手法が必要となる.ヒト体内のステロイドの起源が食物中のコレステロールなのに対して,医薬品ステロイドの多くは植物フィトステロールを原料として化学合成されており,原料の起源を調べることによって両者の区別が可能と考えられる.そこでわれわれは,ステロイドの骨格を構成する炭素原子の同位体比を比較することにより,生理的なステロイド値の変動とドーピングとを区別する方法を開発し,長野五輪での検査に適用した.本稿ではその方法について述べる.〔臨床検査 48:779-784,2004〕
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