学会だより 第38回日本臨床検査自動化学会大会
分析装置の新たな機能,そして個人とチームから学ぶ
米田 孝司
1
1国立循環器病センター臨床検査部
pp.119-120
発行日 2007年1月15日
Published Date 2007/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100413
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2006年10月11~13日に開催された本学会は渡辺直樹大会長のもと4年ぶりに神戸へ会場を移し,一般演題344題,大会登録者約2,300名と盛会であった.一日目にはチーム医療実践セミナー,科学技術セミナー,遺伝子検査技術セミナー,POCセミナーがあり,実践的な技術セミナーということもあり平日21時遅くまで多くの方が参加していた.筆者は2006年5月の医学検査学会(島根)でのPOCセミナー講演に続いて,POCTコーディネータ取得のために,血糖測定でのPOCT対応機器およびSMBGの6機種(3社)を用いて実習し,実試料による影響因子や測定値の違い,機器の特性と適正使用について学んだ.血糖測定器に測定誤差を認めた症例報告においては,臨床的に許されると思われる血糖誤差(約10%)から解釈するPOCTとSMBGの違いのアドバイスがあった.
二日目・午前は,ゲノム解析で有名な東京大学医科学研究所・中村祐輔教授の「オーダーメイド医療の確立に向けて」と題した講演を聞いた.薬剤に対する薬理効果や副作用の個人差は薬物代謝・運搬・レセプター・シグナル伝達などに関与するSNPが要因であり,その情報に基づくオーダーメイド医療実現化の国際プロジェクトの成果報告があった.数百万か所のSNPアレル頻度とタグSNPの整備,安く多くのSNPを素速く解析する技術,研究の有効利用など現状および将来展望を述べ,血液から60分以内でSNP分析できる機器の開発についても報告があった.
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