特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩
4章 臨床検査情報の収集とデータマイニング
3. データマイニングの事例
5)白血球粒度のパターン解析
片岡 浩巳
1
Hiromi KATAOKA
1
1高知大学医学部附属病院検査部
キーワード:
白血球粒度
,
パターン解析
,
EMアルゴリズム
,
クラスタリングマップ
,
類似検索システム
Keyword:
白血球粒度
,
パターン解析
,
EMアルゴリズム
,
クラスタリングマップ
,
類似検索システム
pp.1486-1494
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100330
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はじめに
フローサイトメトリーから得られる白血球粒度データは,白血球をリンパ球,単球,好中球,好酸球,好塩基球に分類することができ,一般的な臨床検査のスクリーニング検査として幅広く利用されている.通常,これらのデータは分画比率として報告され,粒度パターンの詳細は報告されることはない.しかし,それぞれの粒度パターンには,細胞の成熟度や疾患によって,様々なパターンが存在している背景から白血球粒度を画像として報告する施設が多くなっている.ところが,画像として報告した場合,目視の判断に頼るしかなく,それらのパターンの識別は主観的な方法で判断するしかなかった.
本研究の目的は白血球粒度の生データを解析可能な形式でデータベースに記録し,データマイニング技術を駆使して,白血球粒度のパターンを客観的に吟味できる診断支援システム1)を構築することである.本研究では白血球を構成する各分画の成分を数学的なモデルとして取り扱い,それらの成分を分離後,クラスタリング技術を利用して,隠されたパターンを網羅的に把握できるシステムを開発した.本稿では,この情報を元に分画別のパターンについての類似検索システムや診断支援システムに応用した事例を紹介する.
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