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プロテインチップシステムを用いた臨床診断への応用
若田部 るみ
1
,
志和 美重子
1
1サイファージェン・バイオシステムズ株式会社横浜研究所バイオマーカーディスカバリーサービス
キーワード:
プロテインチップシステム
,
クリニカルプロテオミクス
,
バイオマーカー
,
Pattern TrackTMプロセス
Keyword:
プロテインチップシステム
,
クリニカルプロテオミクス
,
バイオマーカー
,
Pattern TrackTMプロセス
pp.454-461
発行日 2005年4月15日
Published Date 2005/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100138
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1. はじめに
ポストゲノム研究の時代を迎え,プロテオミクスの技術進歩が飛躍的に進んでいる.それに伴って,網羅的解析がタンパク質レベルで盛んに行われ,膨大な情報が蓄積されつつある.一方,診断,予防医学,創薬研究といった分野に特化したクリニカルプロテオミクスに関する研究も急速に活発化している.プロテインチップシステムは,このクリニカルプロテオミクスに応用すべく開発された技術であり,これまでバイオマーカー探索の分野で多くの成果が発表されている1~3).プロテインチップシステムを用いたバイオマーカー探索は,「Pattern TrackTMプロセス」と呼ばれるコンセプトに基づいており,バイオマーカーを探索する目的だけではなく,臨床応用可能な診断アッセイを構築・実施するカスケードとして提唱されている(図1).このプロセスでは,バイオマーカー探索・同定から実際の臨床現場で用いられる診断アッセイまでを4つのステージに分けて,見出されたマーカーの信頼性を上げる工夫がなされている.重要なポイントは,多サンプルアッセイにより見出された複数のバイオマーカーを検証する“バリデーションアッセイ”を行うことである.このステップは,臨床応用可能なマーカーであるか否かの判断材料として大切なプロセスであるが,比較的規模の大きな実験となることから,再現性の良さやスループットの高さが必要条件となる.プロテインチップシステムはこれらの要素を兼ね備えており,この評価試験を迅速に実施することが可能である.
本稿では,プロテインチップシステムの特徴と原理について述べたあとに,臨床診断の分野へどのように応用できるのかについて紹介する.
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