今月の表紙 細胞診:感染と細胞所見・4
トリコモナス
住石 歩
1
,
海野 みちる
1
,
坂本 穆彦
1
Ayumi SUMIISHI
1
,
Michiru UMINO
1
,
Atsuhiko SAKAMOTO
1
1杏林大学医学部病理学教室
pp.360-362
発行日 2006年4月15日
Published Date 2006/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100081
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
トリコモナス目は原生生物(原虫類)動物鞭毛虫網に属し多数の属と種が含まれるが,人に寄生するのは4種で,代表的なものに腟トリコモナスがある.この虫体は長径7~23μm,短径6~12μmの楕円形で5本の鞭毛を有する.4本は遊離鞭毛として前方に伸び,他の1本は体中央部まで後方に伸び,体表との間に波動膜を形成している.体内には楕円形の核を1個有するが,ミトコンドリアはもたない.体前端から縦に走る軸索は後端から突出し,虫体は縦2分裂で増殖する.囊子(cyst)は作らず,栄養型のみが存在する1).
ここでは腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)について述べる.トリコモナスは世界中にみられる感染症で,わが国では女性の数%に感染がみられる.男性は感染した女性からのみ感染する点が,他の性感染症(sexually transmitted disease;STD)との違いである.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.