Japanese
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薬剤の臨床
トリコモナス腟炎の全身的治療—特に尿中トリコモナスに対する効果
Systemic treatment of Trichomonas vaginitis, especially its effect on trichomonas in urine
内田 孔平
1
,
大淵 達郎
1
Kohei Uchida
1
1九州大学医学部産婦人科学教室
pp.633-635
発行日 1958年8月10日
Published Date 1958/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201801
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トリコモナス(以下トと略)腟炎は頑固な帯下を主訴とし,難治性で再発を常とする疾患として一般に知られているが,その病原性についてすら異論があり,又感染経路,再発等についても尚多くの問題を残している。最近尿路に於けるト虫の存在が甚だ重要視され,単なるト腟炎として論ずるべきでなく,尿性器ト症として取り扱い,治療すべきであると考えられている。即ちりKean1)によると腟又は尿路の両方又は何れかにト原虫を見出した45例の婦人の中,腟にト虫を有するもの38例,尿路に有するもの40例で33例は腟と尿路の両方書,5例は腟のみに,7例は尿路のみにトを発見したと云う。真柄2)も腟内にトを有する婦人例222例中67例(30.2%)に尿中にトを証明し得たと報告している。その他バルトリン氏腺,スケーネ氏腺等がト虫の治療に対する避難所となるとも云われている。又配偶者よりト虫の感染も問題となつており,Keutel3)は44例の腟ト陽性婦人の偶配者の38.6%にト原虫を認めたといゝ真柄2)は配偶者における尿中ト虫陽性率は14〜57%と云つている。Whittington4)によると26例の腟ト陽性婦人の配偶者の精液よりト虫を培養して7例(27%)に陽性であつたと云う。これらの報告は何れもト腟炎の治療が単なる従来の罹患婦人の局所内薬剤挿入を以つてする治療では不充分であることを証明しており,所謂再発の中には腟周囲臓器からのト虫の自巳再感染も多いと考えられる。
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