特集 消費者(患者)の声/ニーズの吸収
消費者(患者)の声への対応—医療生協の病院・診療所における取り組み
高橋 泰行
1
1日本生活協同組合連合会医療部会医療活動委員会
pp.588-592
発行日 2000年7月1日
Published Date 2000/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903848
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はじめに—消費者と組合員
今回のテーマである「消費者」という点に関していえば,医療生協の組合員は「消費者」にはとどまらない.自らの健康の主権者,主人公であり,ある時は医療サービスや医療行為の生産者でさえある.保健活動や慢性疾患での治療においては患者の位置はいっそう高まる.
消費は生産と対局にあり,消費者は生産者と区分され対立した存在となっている.これまで医療サービスの提供側つまり生産者が主導権を握り,消費を行う国民には十分情報公開されず,不利な立場に置かれ,患者は健康について自発的な態度をとることが困難だった.民主主義とは「参加の制度的保証である」という定義がある.わが国の場合,住民が医療に参加できる場は多くはなく,消費者と生産者の協同が成り立ちにくい.このような状況を改善するうえで「消費者」という視点は一定有効ではあろう.消費者の意向に基づいて生産者が工夫や調整を行うのが一般的なのだから.
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