主張
病院と地域とのつながり
S
pp.487
発行日 1992年6月1日
Published Date 1992/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903756
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富山県に新しくできたオール個室の老人保健施設を見学する機会があった.老人福祉センター,デイサービスセンターを含めて約30億円を投じた町立の施設は,入口のアトリウム,ベッドやトイレ,家具までが特別にデザインされた個室,雨の日の散歩にも使えるゆったりした廊下,車椅子で入浴できるチェアバスなど,せせこましい病院を見慣れた目には驚きの連続であった.病院は治療の場だからとの言い訳はもはや通用しなくなりつつある.
しかしそれらハード面での先取りにも増して驚かされたのは,人口7,500の町のこの施設に600人ものボランティアが登録していることであった.もちろん実際の活動の詳細はわからないが,いかに町の主体による施設の強みがあるとはいえ,地域による地域のためのサポート体制づくりは決して不可能ではないと感じられた.
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