特集 病院経営の実態に迫る
病院経営とキャピタルコスト
高原 亮治
Ryoji TAKAHARA
pp.1069-1073
発行日 1991年12月1日
Published Date 1991/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903724
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キャピタル問題の所在
医療経営におけるキャピタル(資本財)のファイナンシング(財源調達)問題が近年注目を浴びている.本特集の問題意識も編集部からの依頼によれば,「私的病院は公的病院に比べるとキャピタルコスト(ファイナンシング)において決定的なハンディを負っています.これをどのように考えればよいか……」ということのようである.
しかしこの問題を公・私病院のキャピタルにおける不平等という点にのみ注目するなら決して新しい問題ではない.わが国のように,私的病院と公的病院が並立した医療供給体制にあっては,大げさにいえば明治以来存在したはずである.それがなぜ今日,とくに注目を浴びることになったのか.敢えていえば,私的病院はこのような「不平等」を予め承知の上で参入してきたはずであり,参入後に競技のルールが自分に不利であると気づいてルールの変更を主張するのは子供じみたふるまいといわれても仕方のない話であろう.事実,つい最近に至るまでこの問題は正面きって取り上げられることはなかったわけであり,今まで黙っていた私的病院関係者が声高く「不平等」を主張しはじめたことは単に「子供じみている」というだけではなく,やはりそれなりの理由があると見なければならないのである.
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