病院管理フォーラム 看護管理=病院のDON・20
看護組織の革新
小山 秀夫
1
1国立保健医療科学院経営科学部
pp.658-659
発行日 2002年8月1日
Published Date 2002/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903589
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⦿名称変更と組織再考
2002年3月1日,改正保助看法が施行され,看護職の名称が看護師,保健師,助産師,および准看護師となった.テレビなどの報道番組でも「看護師」の名称を耳にするようになったが,病院などの現場では,この名称変更はどのような変化をもたらしたのだろうか.まず,正式な文章で「看護婦(士)・准看護婦(士)」と書かなくてよくなったことは,便利である.専門職業で性による区別をしないのは世界的傾向で,評価できる.医師や薬剤師が「師」なので,「士」でなく看護師にしたのだそうだが,筆者の理解では「士」とは学問がある人というニュアンスで,「師」は先生という意味もあるが,むしろあることを職業としている人という意味であると思う.今さら,繰り言になるが「弁護師」とか「詐欺士」などとは絶対書かない.士より師が位が上と思っている人がいるとすれば,全くの誤解で,美しい日本語の論理でもない.看護師という名称に反対しているわけではないが,それは「看護の先生」ではなく「看護を職業としている人」という意味であることを確認したいだけである.
相変わらず患者さんたちからは「カンゴフさん」と呼ばれていることが多いが,「いいえ,私たちは看護師です」といい返すのも威丈高だし,徐々に呼び方が定着するのであろう.ただ,役職者の名称はなじめないものが多い.総看護師長はまだしも「病棟師長」,「外来師長」,「教育師長」というのはいただけない.極めつけは「総師長」,「副総師長」で「そうしちょう」は「壮士長」,「ふくそうしちょう」は「服装輜重」かと疑いたくなる.パソコンで「しちょう」と入力しても「師長」には変換されないし,辞書にもない.
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