レポート
全社連病院における検査精度管理の改善
久満 董樹
1,2
,
山口 亨
1,3
1全社連検査精度管理等委員会
2社会保険船橋中央病院
3城東社会保険病院臨床検査部
pp.46-50
発行日 2002年1月1日
Published Date 2002/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903455
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改めて検査精度管理を考える
医学生であった1960年代前半,私は大学の内科研究室で夜間アルバイトをしていた.まだ検査室が中央化しない時代で,肝臓疾患を扱うその研究室では,いわゆる「肝機能検査」を医師が行っていた.私が担当したのは膠質反応とビリルビンの定量で,夕刻研究室にゆくと,当日採取された10人分ほどの患者血液が準備されていた.血清分離とインキュベーションの合間に汚れた流しの器具類を洗い,終わると検量曲線から得た値をノートに記載して帰宅することを繰り返した.ある時,室長からなかなか精確な検査をしているとほめられ,秘かにいつも同一血清を紛れ込ませてモニターしていた事実を告げられた.今に言う精度管理を受けていたのである.
インターン時代には,インターンも新人医師も白衣のポケットに末梢血検査用のメランジュール2本を入れ,採血をすると病棟の片隅にある顕微鏡室で数取器を叩くのが当たり前であった.早朝の教授回診に間に合わせるために「新しくて速い」ことが「精度」よりも優先された時代でもあった.インターン研修を終えるとき,前述の研究室で,市販されたキットを用いて「肝疾患におけるコリンエステラーゼ値測定の意義」と題した小さな報告書を書かせてもらったのが,内科への入局と肝臓病とのかかわりのきっかけになった.
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