発言あり
医辞連
れ
,
よ
,
か
,
わ
,
た
pp.367-369
発行日 1976年6月15日
Published Date 1976/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205194
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命の可能性は測れない
ある学生が,臨地実習で脳性小児マヒの子供を2人持つ家庭に接した.その時,その学生は感想としてこんなことを言った.「どう考えても,この2人の子供が健康な体にもどることはない.家族の負担は大きくなるばかりだ.こういう未来の可能性が持てないケースでは何をやっても一時しのぎで,希望が持てない」.この言葉を聞いた時,私はその医療従事者の姿勢に寒々とした気持を味わった.
どんな状態を健康と考え,何に幸せを感じ,生きることの価値をどこにもとめるかは,人それぞれに異なる.ピチピチと五体満足で生きていることは,幸せの1つには違いない.異常児で生まれたり,あるいは不治の病にかかった場合,そのこと自体は不幸であり,希望に満ちているとはいえないかもわからない.しかし,現代医療技術の可能性に限界があるからといって,医療を放棄し,看護の手を差しのべる事をやめる理由にはならない.
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