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病院設立から現在までの概要
父の医業を継ぎ,昭和49年に坂梨内科医院として有床診療所を開設,2年後病院へと改組,阿蘇内牧の温泉地帯にあるという立地条件を生かし,機能回復への効果が期待できる天然温泉利用のリハビリテーション機能を持つ病院として整備,地域の医療ニーズに応える形で,救急医療,老人医療,デイケアなどの在宅部門,人工透析部門,健康診断部門の整備ならびに病床の増床を行ってきました(表1).建物関係については,療養型病床群規格の法整備以前より,療養型病棟の新築工事に着手,このための苦労もありましたが,病棟完成後,外来治療棟,厨房その他病院のすべてのリニューアル工事も竣工し,病室病床は一般病室も療養病室も1床平均8m2以上となるハードウェアの整備を行ったところです.竣工時は,余裕スペースを持つ施設整備という概念での整備でしたが,現在では手狭に感じるようになってしまいました.
ソフトウェアについては,阿蘇温泉病院では,医療人として,まずなんといっても「よりよき人間性」といったものが必要であり,これなくしては,「よりよき医療の提供」はあり得ないという考えから,あいさつに始まる接遇,基本マナーを重視した取り組みをしてきました.当院では,「よりよき人間性」を具現化する方法の一つとして,その出発点としてオアシス運動(「オはようございます」,「アりがとうございます」,「シつれいします」,「スみませんでした」)の励行,「あいさつ」という形から人っていくことを実行していますが,病院を訪問される方から,「こんにちは,といったあいさつの声をかけられて気持ちがよいですね」といった声をよく耳にします.幼い頃よりあいさつを大切にする当地の風土に育ったという土地柄もあるのだと思いますが,患者さん,あるいは他者に対して思いやりのある従事者が多いことを感謝しています.このようにして全従業員が支え合い,力を合わせることで,病院の業績が順調に伸展してきたのだと思います.現在までのところで,急性期から慢性期,介護への対応,また退院退所後や在宅のニーズに対応するプログラムまで,ひとまず整備できたということになりますが,当院の置かれた地域性から,自己完結型の整備となった感があります.いずれの部門についても,これからも引き続きいっそうの充実強化が必要であると認識しています.
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