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組織文化とリーダーシップ
病院を訪問したり,病院職員と話し合っていると,人間に個性があるように,各病院やその病院の看護部門にも固有の個性があるように思う.このような個性を一般企業では社風と呼んだり組織文化といったりするが,要するに組織構成員の思考,感情,行動に共通点があるということを意味している.この場合「文化」という言葉は,組織全体や周囲の環境を組織に所属する人々がどのようにどうみるか,感じているかとか,何が問題で,どのように対応するかといったことである.つまり,ある特定のグループが,組織内外の各種問題に対処するために学習し,作られ,発見され,または発展させられたパターンと考えてもよい.このパターンは,組織内で上から下へ繰り返し教え込まれることにより,組織文化を形成することになる.
病院や特定の組織には,理念や目的あるいは方針というものが存在するのが普通だが,組織文化はこのようなある種の仮定を作り出す原則にもなるし,外部の変化に組織がどのように対応するかといったことを決定し,実行する原動力になる.それゆえ,組織である病院やその組織の一部である看護部門を理解しようとした場合,どのような組織文化が醸成されているかを理解することが必要なように思う.ただ,組織文化の問題を取り扱う場合,注意しなくてはならないのは,その文化のよしあしとか,強さやもろさという二者択一的な判断は無用な混乱をきたす恐れがあるということである.なぜならば,国や一定のコミュニティの文化を理解する場合,それがよいか悪いかとか,強いか弱いかが問われるのではなく,その組織構成員の思考,感情,行動にどのような共通点があるのかということを確認することが必要だからである.
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