特別寄稿
オンロツク/PACEモデルにみる医療福祉統合・1
近藤 克則
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.135-141
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903197
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アメリカの急性期医療の問題として無保険者の問題はよく知られている1).しかし,アメリカの長期ケアでも多くの問題が指摘されている2).一方で,それを克服しようと急性期医療と長期ケア(福祉)を統合する様々な取り組みが行われているのを見逃してはならない3).そのような代表的モデルにオンロック/PACEモデルがある.オンロック(On Lok)とはこのモデルの発祥地におけるプログラム名であり,PACE (TheProgram of All-inclusive Care forthe Elderly,高齢者包括ケアプログラム)とはオンロックを手本に合衆国の各地で立ち上げられた同様のプログラム全体を指す名称である.これらは高齢者の急性期医療と慢性期の医療・福祉ケアとを統合することで,入院・施設入所を減らし,できる限り在宅生活を継続することを目的とし,その特徴は「総合的」で,「地域に根ざした」,「長期ケア」を加入者に提供するモデルと要約できる4).
このモデルは,単にアメリカでの先進的取り組みとして注目されるだけではない.わが国の介護保険下で急増している「保健・医療・福祉複合体」5)(以下,「複合体」)と比較対照することで,介護保険制度や「複合体」の特性や課題の分析を深める上でも有用なものである.
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