特集 医師養成と大学病院像
〈レポート〉研修医の評価による臨床研修病院のランキングの試み—7年間399人の研修内容調査票の蓄—積から研修病院はどうみえるか?
箕輪 良行
1
,
三宅 由子
2
,
吉新 通康
3
,
伊東 紘一
4
1船橋市立医療センター
2東京都精神医学総合研究所
3地域医療振興協会
4自治医科大学
pp.1131-1135
発行日 1999年12月1日
Published Date 1999/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902873
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1980年代初めから,筆者らは自治医科大学を卒業した医師の臨床研修をめぐり,調査検討を重ねてきた1).研修医の自己評価を基にした研修到達度であるため,その信頼性や妥当性に関しても既に検討して,一定のレベルであることを実証した2).その結果,ローテイト方式の研修医の到達度ではストレート型に比して基本的診察法,基本的検査,基本的手技,基本的治療法で有意に高く,厚生省の臨床研修指定病院の一部に研修医の評価の高い病院,ローテイト型の研修方式で高い傾向があり,病院の規模,開設者,研修責任者などによる違いはないことが示唆された.
ひとつの医科大学の卒業生に対して,臨床研修に関して毎年継続的にほぼ同一の研修項目を調査検討したものはわが国では見当たらない.筆者らの調査では長期にわたる研修内容の変化を観察して,改善や工夫があったかどうかを判断できた.また,自治医科大学卒業生の研修病院となっている各自治体における基幹病院での研修内容を,実際に研修した医師の視点から広く調査検討したものもない.したがって,地域的な広がりや時間という縦断性の点で筆者らが行った研修医による臨床研修内容調査は,わが国における一般的な臨床研修の実態の一断面を反映していると思われる.
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