特集 病院経済の現状
経営費としての賃金と病院職員の待遇
宮沢 源治
1
1全国公私病院連盟事務局
pp.35-39
発行日 1967年9月1日
Published Date 1967/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203162
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
経営費と賃金の関係
資本主義経済のもとにおける企業は,「営利を目的とする生産組織体」としての性格を持っているが,診療所などのように所得が医療施設の所有者に帰属する場合は別として,病院企業は少なくとも,営利を追求する一般企業とは,経営経済上異なった企業体と言える。しかしながら,病院が非営利企業であっても,資本主義経済構造のなかに存立し,経済活動を行なっているのであるから,経営の立場から考えると,企業活動の面で,合理性と経済性の原理が要請されることは,けだし当然と言わなければならない。
合理性または経済性といわれるものは,「企業の合理化」すなわち「最少の犠牲による最大の効果」ということに現わされる。この原則に立って賃金(人件費)を考えてみると,医療活動を実現するための,他の物的な建物・医療機械設備などの減価償却費や,医療材料費・医療経費と同様に原価を構成する主要な要素の一つとしてみることができる。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.