病院管理フォーラム 看護管理・9
感染管理・3—院内感染防止の活動
嶋森 好子
1
1東京都済生会向島病院看護部
pp.1144-1146
発行日 1998年12月1日
Published Date 1998/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902581
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MRSAの型判別による院内感染経路の調査から
われわれは,院内感染の感染経路対策を考えるために,MRSAの発生状況についての調査を行った.この調査は,院内で検出したMRSAについて,①コアグラーゼ型,②エンテロトキソン型,③毒素性ショック症候群毒素産生能,④抗菌剤感受性,⑤プラスミドパターン,⑥染色体DNAの制限酵素による切断パターン,の6種類の型判別を行うとともに,患者の移動と医療従事者との接触状況を調査して,MRSAの感染経路について検討したものである1).
二つの病棟でのMRSA患者の発生状況と看護婦や医師など医療従事者との関連は,図1〜3のとおりである.これらの患者の発生状況からわかるように,医療従事者の不正確な隔離操作や,患者の転室・退院時の病室の清浄化の不完全さが,院内感染の拡大に寄与している可能性が大きいと考えられた.特に,別の病棟に入院している特定の医師が受け持つ患者に,同型のMRSAの発生が見られた.この調査結果を,看護部および医局会などで示して検討するなかで,この医師も含め看護婦および医師それぞれが,これまでの行動を見直すことになった.
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