主張
病院も地球環境問題に取り組みを
B
pp.1073
発行日 1998年12月1日
Published Date 1998/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902564
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カエルを熱湯に入れようとしてもすぐに飛び出してしまうが,カエルを冷水に入れ火で熱していくと,そのままゆだって死んでしまうという.地球環境問題というものはまさに人類にとって,このカエルと全く同じことを意味している.人間の存在が地球の自浄能力を超えてしまったために起こっている問題であるが,同時に現在の世代の人々にはあまり実感として感じられないことも事実である.ご存じのように地球環境の悪化に対してはCO2の過剰排出による温暖化や異常気象,砂漠化や酸性雨,オゾン層の破壊や大量の廃棄物処理問題など,多くの要因が挙げられているが,日常の生活を営んでいくうえではそれらの要因による生活に対する直接的な影響はあまり感じられない.しかし,地球環境が確実に悪化していることは極めて明白なことである.これらの問題に対し,将来を想定して,今すぐにでも実行可能なことから問題解決に向かって着手していかなければ,人類が持続可能な成長,ないしは存在を維持していくことは不可能である.地球環境問題にしても,今日の経済の悪化にしても劇的な変化がごく身近に起こらない限り,日本人の対応はとても貧弱なものでしかない.
わが国の問題意識,あるいは対策の実践と比べて最近のヨーロッパ各国の対応は迅速であり,適切であるように思われる.欧州連合の確立を目指す中で,ヨーロッパ10数か国は大変なエネルギーを費やしながら理想に向かって着実な歩みを続けている.
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