特集 病院としての地球環境問題への取り組み
地球環境と人間
大久保 利晃
1
1産業医科大学
pp.470-474
発行日 2000年6月1日
Published Date 2000/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903011
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人類は火を使うことを覚えて以来,生態系の一員から一歩抜きん出ることができた.さらに農耕や牧畜をとおして1万年ほど前から生態系を「支配」し始めた.それが他ならぬ現在における環境問題の原点といえよう.それ以来,道具の使用,文字や言語の発明,大規模社会の組織化などを通じ,独自の文明を形成してきた.近世に至ると,この支配規模がさらに大きくなり,川の流れを変え,海を埋め立てて,大地をも改造する力を持ったのである.
最初の数千年以上の間は,地球環境は無限であり,これら人類の活動によっていささかの変化も起こらないかに見えた.しかし,ほんのこの数十年間に,資源に限りがあることと,地球環境が有限であり,人類活動の廃棄物が生存そのものを危うくさせているという事実が急に認識されるようになったのである.
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