病院管理フォーラム 看護管理・6
看護の質の保証と看護事故・2
増子 ひさ江
1
1武蔵野赤十字病院看護部
pp.830-831
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902499
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看護婦の誰かにニアミスや事故の経験を聞くと,誰もが一度や二度,経験があるという答えが返ってくる.看護婦の行為が明らかに患者に害を与えた場合は事故と認識する.が,例えば「応対が悪く患者に不快感を与えた」,「点滴が予定時間より1時間早く終了した」,「患者が転んだがけがはなかった」などを,事故の範疇と考えるか否か,個人の認識は意外にまちまちである.前号に述べたようにハインリッヒの法則から考えても,問題にしなければならないのは,日常的に起こるこまごまとしたニアミスや事故である.
当院は在院日数が短く,医療・看護の密度が濃い.加えて患者の高齢化によって,事故発生の条件が急増している.事故報告を受けるにつけ,看護の質を守る最低条件として,意識化された丁寧な看護を実施して,患者に対し安全を保証する,つまり最低限「事故のない」看護を提供することが大切であると痛感していた.平成8年度,私どもは事故の実態を知ることから取り組みを始めた.
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