特集 医療法人の今後
医療法人制度を検証する
医療法人の悩み
関 健
1
1医療法人城西医療財団城西病院
pp.419
発行日 1998年5月1日
Published Date 1998/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902403
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1991年4月1日,筆者は父より医療法人城西医療財団理事長の席を譲られた.父自身が決めていた定年制(理事定年75歳)による移行であったが,何人かの遠くの知人からは「御父様はいつ亡くなられたのですか.」と尋ねられた.私どもの医療法人は1951年に医療法人制度ができて間もなく,筆者の祖父および父の寄付により財団法人として発足している.父の場合は,1966年に祖父の死に伴い理事長に就任しており,理事長職の承継が前任者の死を機に親子間で行われる日本では一般的なあり方であった.この世襲傾向は私どものような財団法人よりも,持ち分のある社団法人において強く,その原因が税法上の問題にあることはいまさらいうまでもない.理事長職が,父子伝承といった秘伝めいたものではないにもかかわらず,親子間で承継されてゆくことの是非についてここで多くの紙数を費やすつもりはないが,財団法人,持ち分のあるなしを問わず,社団法人,また特定医療法人にあっても世襲されてゆく現実があることをまず指摘しておきたい.
さて,筆者の理事長就任に際し,外国の知人らから「CEO就任おめでとうございます.責任は重大ですね.」といった趣旨の手紙を何通かもらった.CEO (chief excutive offi-cer)は,日本語では最高経営責任者と訳され,株式会社でいえば代表取締役社長(もしくは代表権のある会長)職ということになろう.
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