レポート
急速に普及しつつあるわが国の病院ボランティアの現状
中山 博文
1
1国立大阪病院総合内科
pp.377-378
発行日 1998年4月1日
Published Date 1998/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902392
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はじめに
わが国の病院ボランティアは,歴史的には1962年の淀川キリスト教病院におけるボランティア受け入れに遡ることができるが,その置かれている社会的状況は,昨今大きな変化を迎えていると思われる.まず第1に,阪神大震災によりボランティア活動に対する社会的認識が高まり,ボランティア活動を希望する人が増えた.第2に,ボランティアを受け入れる病院の置かれている状況が変化しつつあり,それが病院のボランティア観の変化を起こしつっあると思われるのである.近年患者は,医療に対してより高度な医療技術のみならず,よりよいアメニティを求めるようになってきた.ところが,経済的に追いつめられている病院は,その要求に答えるための人員増を実現することができず,猫の手も借りたい状況にあると思われ,当然無償のボランティアは大歓迎される.第3に,企業戦士といわれる日本のサラリーマンが,社会参加のひとつのあり方として,病院ボランティアに取り組み始めたのである.その典型は,百貨店協会がバックアップして開始された東京大学医学部附属病院におけるボランティア活動である.
このような社会的状況の変化に直面している病院ボランティアの現状について,日本病院ボランティア協会の資料に頼るしかないが,1996年5月現在で,日本病院ボランティア協会への加盟病院は89病院にすぎず,わが国における病院ボランティアの全体像を捉えることができない.
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