主張
薬と病院経営
N
pp.1081
発行日 1997年12月1日
Published Date 1997/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902272
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医療保険制度改革の第一弾といえる患者負担増が1997年9月より実施された.医療保険の財源をどう確保するかが検討された結果である.現時点ではある程度の負担増は国民も容認せざるを得ないと覚悟していたせいか,大きな混乱は報告されていない.しかし薬剤に関しての今回の負担は患者さんに理解を求めるのが難しいとの声が聞かれる.そして9月以降の受療抑制により病院経営にどのくらいの影響が出るのかはもう少し推移を見守る必要がある.
薬に関する負担の問題点の第1は老人医療以外の場合2〜3割の定率で薬剤分も負担し,さらに投薬された種類数に応じて負担が加算されるという,いわば二重負担になる点である.この負担のルールは薬価に関係なく算定されるため薬価の低い薬のほうが負担率が上がってしまう.これを回避するために205円ルールがあるが,服用方法の変更によって負担額が変わる.場合によっては薬を減らしたらかえって負担額が増える場合もある.第2にこのような計算方法や説明のための窓口での混乱が起こっている.確かにわが国の総医療費に占める薬剤費率を考えるとなんらかの対応が必要ではある.しかしその場合,患者さんに理解しやすい負担方法が望ましいのはもちろん,多少でも疾病の治療の妨げになる方法は問題である.医薬品の提供と一部負担の問題はなんらかの解決方法が急がれる.
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